建設業界における労働力不足の解消や生産性向上を目的として,3Dコンクリートプリンティング(3DCP)技術の実用化が進められている.しかし,北海道のような積雪寒冷地への導入にあたっては,冬季の厳しい気象条件,とりわけ凍結融解作用に対する耐久性の確保が最重要課題となっている.一般に,コンクリートの耐凍害性は内部の気泡組織(空隙構造)に強く依存することが知られている.適切に連行された微細な独立空隙は,細孔内の水分が凍結膨張する際の緩衝材となり,破壊圧力を緩和する役割を果たすからである.しかし,3DCPは型枠を用いず材料を積層するプロセスを経るため,振動締固めを行う通常のコンクリートとは異なり,施工時の圧力や変形に起因した特異な空隙構造が内部に形成される.これまでの研究では,層間の接着性状に関する検討は行われているものの,フィラメント内部の空隙ネットワーク構造(空隙の合体,配向)がどのような条件で変化するか,耐凍害性にどう影響するのかについては未解明な点が多い. 本研究では,積層パラメータ(ノズル移動速度,吐出量および積層ピッチ)およびAE剤の有無を変化させた3DCPモルタルを作製し,X線CT法を用いた空隙構造の三次元ネットワーク解析と,液体窒素を用いた凍結融解試験を実施した.その結果,積層ピッチの減少,吐出量増加に伴う圧付けやノズル低速移動時の長い圧密時間は,空隙の扁平化および合体を助長し,これが耐凍害性を低下させる要因であることを明らかにした.一方で,高速吐出条件下においては,空隙の変形・劣化が抑制される傾向を確認し,寒冷地適用に向けた施工パラメータの適正化に資する有用な知見を得た.