3D コンクリートプリンティング(3DCP)の実用化において,材料特性や施工速度,積層経路など多岐にわたる施工パラメータの最適設定は,構造物の品質確保に向けた重要課題である.これらのパラメータの組み合わせは膨大であり,従来の実験的手法での最適化は困難であることから,近年では AI を用いた施工設計が期待されている.しかしながら,高精度な AI モデルの構築には一般に大量の学習データが必要不可欠であり,実験や解析に多大なコストを要する建設分野において,このデータ収集の負担が AI 導入の大きな障壁となっている.本研究では,施工パラメータの一つである「積層経路」を対象とし,AI モデルの構築に必要な学習データ数を定量的に評価することで,AI 活用におけるデータ取得コストの課題解決を目指した.具体的には,フィラメント間の付着面積率を変化させた FEM 解析によりデータセット(6000 通りの積層経路に対する曲げ試験シミュレーション時の変位量)を構築し,目標変位量から最適な界面配置を予測する AI モデル(深層学習モデル)を作成した.深層学習モデルから出力された界面配置の予測に基づき積層経路を導出し,その力学性能を再解析により評価した.結果として,界面の付着強度を適切に反映させることで,比較的少数のデータ(1000 程度)でも目標性能を満たす経路を自動生成できる可能性を見出した.本成果は,膨大なデータを必要とする AI 開発の課題に対し,効率的なデータセット構築の指針を示すものである.