下水管内のコンクリート構造物健全性評価の手法は,目視およびカメラによる外観検査が主流である.しかしながら,点検頻度の確保が困難であり,常時モニタリングとして最適であるとは言えない.
本研究では,MEMS振動発電デバイスとロッドの組合せで構成された無電源デバイスを用いて,電力供給を最小限とする自立的で高感度かつ低コストで硫酸劣化環境をモニタリングできるシステムの適用性を検討した.
本研究で取り扱う硫酸劣化モニタリングデバイスは,コンクリート内に挿入されたロッドと振動発電デバイスを組み合わせた機構で構成され,下水管路の壁面から突出した形式である.硫酸劣化によるコンクリート表面の化学的侵食とロッドの腐食の進行に伴い,下水道管内壁に固定されたロッドの固有振動数は変化し,ロッド先端に設置されたMEMS振動発電デバイスの発電量が変化することになる.
ロッド材の直径と材質を変化させて作製したモルタル供試体を硫酸溶液に浸漬し,劣化環境下でのロッド材の振動数の変化とモルタルの劣化の様子を観察した.
12週間の浸漬試験の結果、強酸環境下ではモルタル表面における二水セッコウの生成と剥離が支配的であることを明らかにした。また、軽量かつ高剛性なロッド材を使用することで高い検知感度を得ることができた。